私のもうひとつの故郷。
島根県にある匹見町というとても広く小さな町。
「素敵なところだね」
そう言えるのは便利な所に住んでいるから。
広大な自然しかない、本当に何もないといってもいい。
電気も水道も店も何も、あって当たり前と思うものがなくても生きていける環境。
彼らはこの広大な自然の中で育ち、この広大な自然とたたかってきたのだ。
私はというと・・・。
たまに行っては虫をこわがり
たまに行ってはわさびを獲り
たまに行ってはぎんなんを拾い
たまに行っては椎茸を打ち
たまに行っては釣りをして
たまに行ってはこんにゃくをつくり
たまに行っては神楽を見て・・・・・・。
目の前にいくらでもある山や谷や川。
今ではなかなかできないと言われるいろいろなことをしてきたのだ。
それなのに、たまにしか行かないのに時間をもて余す。
だって現代っ子だったから。
不便だとしか思えずなかなか寄り付かなかった子どもの頃、そして自然の偉大さを知り魅力を感じられるようになった今。
今となってはもう遅いが、本当に大事にすべき場所はここだったことに今さら気づく。